絵の具を使った絵画とはまったく異なり、柔らかそうな布地で作り出される押し絵。半立体の世界はまるで今日の3Dの映画を先取りしたかのようで、まるでそこにもう一つの世界があるような錯覚さえ覚えます。
それは、完全な立体である人形とはまた違う魅力にあふれているといえるでしょう。
背景から小道具まで、すべてが一つの空間(平面)の中にあり、その中で楽しく遊んでいるかのようなつつみ絵の主人公たち。
暖かみのあるその風景は、いつまでも見飽きることがなく、心をなごませてくれるでしょう。
つつみ絵は今日では羽子板というイメージがありますが、実は本来、表具(襖、掛け軸、障子)などにあしらわれる貼り絵の技法だったようです。
最初は京都の公家たちの間で楽しまれていたものが、江戸時代に歌舞伎が流行り、人気役者の舞台姿をつつみ絵として羽子板にあしらったところ、これが大当たり。一般の人たちに広く普及していきました。
しかし、その歴史が示すとおり、羽子板だけのものではありません。たとえば好きな絵柄をつつみ絵で作り、額にして飾れば、立派なインテリアになりますね。
材料も布と綿などがあれば簡単に作ることができますから、ぜひあなたもつつみ絵の世界を楽しんでみてはいかがですか?
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